2008年07月14日

Roll The Bones(詩その3)

ラップパートの前段です。



まず、ラップですから、それ風(ラッパー口調)に自訳を先に書いたあとで解釈解説します。
全体的に解釈後の言葉で作っていますので、まずは読み流してください。
Jack -- relax.
Get busy with the facts.
No zodiacs or almanacs,
No maniacs in polyester slacks.
Just the facts.

ジャック、落ちいていけ
マジネタでお仕事といこうぜ
占星ダイアグラムも歳時暦も
安っぽい身なりの熱狂者も要らなねぇ
マジネタだけでな


Gonna kick some gluteus max.
It's a parallax -- you dig?
You move around

かっこよくいこうぜ!
視点がずれてるぜ、解るかい?
お前は動き回っているからな

The small gets big. it's a rig.
It's action -- reaction --
Random interaction.

小さいカードが大きいカードをやっつける。そいつはイカサマだ。
動作があって反応があって
その場のノリの相互作用やつさ

So who's afraid
Of a little abstraction?
Cant get no satisfaction
From the facts?
You better run, homeboy --
A fact's a fact
From Nome to Rome, boy.

だからって
どいつがそんなちゃっちゃな取り合いに怯えるんだ?
どいつがマジネタだけじゃ満足できないって?
(そんなんじゃ)逃げた方がいいな、ダチ公
マジネタってやつは現実なのさ
どの河岸いってもな、坊や

-----



ちょっとNeil師匠の世界からは離れた口調ですが、
まぁラップなのでご海容ください。

「zodiac」は黄道十二星座のダイアグラム
「almanac」はお寺が作る方位や例年の行事を記した暦ありますよね、あれです。
ポリエステルのスラックスをまとった熱狂者がでてきます。
「polyester」は口語というかスラングで「安っぽい」とか「ちんけな」という意味で使われます。

いずれも現実的ではない、予想や経験則、空言を与える物事で、
そんなものに気をとられないで「facts」で勝負しようと投げかけています。
(ネタは本来、「本質的な要」とした業界用語ですが、昨今は「やらせ」の香りも帯びていますので「マジネタ」とさせていただきました。)

Gonna kick some gluteus max.

これ、たぶんそうだと思いますが、Neil師匠一流の言葉替えだと思います。
「gluteus max」は医学用語の「gluteus maximus」(大殿筋)のことでしょう。

つまり「おしり」
つまり「kick ass」の言葉替えだと思うのです。
(随分と科学的ass」ですね。)

「kick ass」は「いかす」「かっこいい」「クールだ」という賛辞のスラングです。

つまりここでは、そんな戯言(ダイアグラム、暦等)に惑わされずクールにいこうぜ、という意味だと考えました。

「parallax」これも韻を踏みながら難しい言葉を比喩的に使っていると思います。
辞書の説明をそのまま引用すると「観測位置の相違により生じる物の視覚像や方向の差異」。
簡単に言えば同じものを違うところから見ると見え方(像)が違うこと。

例えば、コンビニで売っているインスタントカメラで写真を撮ると、
ファインダ(といっても四角いガラス窓)と実際のレンズの位置が違うので焼き上がると自分が思っていたように空間を切れ取れていないことがあります。これも「視差」と言います。


「dig」はスラングで「understand」の意味で使われます。

つまり、観点がずれてるんだけど解ってるかい?という意味でしょう。

そして「move around」。ウロウロして物事をまっすぐに見ていないからさ、とつながっていきます。

The small gets big.の「gets」を「負かす」と捉えてみました。
なぜなら続く「it's a rig.」の「rig」をスラングで「八百長」「いかさま」と解釈した方が絵になるからです。

小が大を負かすっていうのはゲームではあり得ないですよね。
もちろんブラックジャックのように大きくなりすぎて「ブタ」になってしまうことはありますが・・・

続くaction三段活用(?)はゲームというのは「どちらかが仕掛けて、反応して仕掛けて」を繰り返すという意味だと思います。

「abstraction」・・・これ悩んだのですが、上記のように法学的な使われ方の「奪取、搾取」としてみました。
zodiacs or almanacsなどを指し「そんな曖昧なもの、誰が怖がるっていうんだい?」とも考えたのですが、
流れの中で位置が遠い気がするんですね。

どちらかというと直前の「駆け引き」よって起きる「取った、取られた」を指していると考えた方がストーリー的です。

誰が事実だけじゃゲームはつまらないっていうんだい?
そんなんじゃ逃げ出しなよ「homeboy」

この「homeboy」はスラングというか若者言葉で「地元の男友達」。
ニュアンス的には悪ガキ仲間的な感じの使われ方です。

Nomeは人口が3500人ほどのアラスカ州西岸にある小さな港町。この町が歴史に名前が出てくるのは19世紀末のゴールドラッシュくらいです。

語呂合わせ優先的な部分もあるとは思いますが、この歴史的抑揚の少ない場所からRomeのように劇的な変遷を遂げてきた場所でも「事実」「真実」しかあり得ないのだ、と結んでいるように思います。
つまりどこに行っても現実を使ったゲームしかできないんだよ、と。


「Roll The Bones」はゲームに能動的に参画しようじゃないか、という詩であると解釈しました。
ここのパートでは、物事を成し遂げようとするとき、面白味やファンタジックなことではなく現実のカードをお互いに張り合おうじゃないかという鼓舞、投げかけ、であると思います。


posted by snowdog at 14:44| Comment(0) | TrackBack(0) | Roll The Bones | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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