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Big money goes around the world
Big money give and take
Big money done a power of good
Big money make mistakes
Big money got a heavy hand
Big money take control
Big money got a mean streak
Big money got no soul...
大金は世界を駆け巡る
与え、持っていき
善行を為し
間違いを犯す
大金は重大な力を手にして
コントロールし
猛者を供するが
心に残るものは何も無い
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give and take という言葉は日常的に使われていますが、どことなく契約的な響きがあります。与えることで授かるというのは、相互が意識的にそうであれば美しいのですが、中々その域に達するものではありませんね。
(もう少し柔らかく謙遜した表現で give and givenというのもあります。)
ここではどことなく事務的な関係として使っているように感じます。
難しいのが「mean streak」。
with a mean streak で「意地の悪い」という成句ですが、「mean streak」だけだと「猛者(もさ)」という意味もあります。
猛者とは
「勇猛な人。もさ。また、富裕で勢いのある人。」(大辞泉)
「荒々しい人。また、すぐれた技術・体力をもち、活躍している人。」(大辞林)
このバースの流れを見ると「make mistake」「got no soul」以外は見た目よく見えることを列記しているように感じるのですね。8行の固まりが4行セットの2固まりになっていて、最初の固まりの4行目では「間違いを犯す」と否定が綴られています。よって7行目の「mean streak」は見かけいい意味の内容なのではないだろうか、と。それで「猛者」と捉えてみました。
big money はその力によって猛者を手中に収めるけど、という意味かな、と。
Big money,Big moneyと連呼されるので大金が見えざる力で世の中を席巻しているかのような歌詞ですが、伝えたいところはその動力となる人間の財欲や情念であると思うのですね。
最後の「got no soul」で大金そのものは人の中に何も残していかない、と。この決め台詞からもそんな風に感じます。
(余談風)
大学時代、近代経済学(いわゆる、キンケー)を専攻したのですが、概論で習ったケインズの「消費は美徳」という言葉を思い出します。
Powが発売された1985年と言えば、それからの約5年間はこのままどこまでも賃金は上がり続け、モノが世の中に溢れ、市場は無限か?のような錯覚に陥っていた頃であります。
お金もバンバン飛び交ってました。正にバブルに中身無く脆く。
消費とは対価を支払って何がしの満足を受益することですが、いくら払ったんだからこれだけの受益になるはずだ(give and take)ということに偏重し過ぎると消費はエスカレートしモノの価格は上昇します。
ケインズの言うところの有効需要の創出とは、「火」ではなく「油」を政府が注ぐことです。
日本のバブルは企業主体だったと私は考えていますが、「くれ!」と言われればすぐに政府が「油」を注いだ結果、消し止めれられないくらい大きな火になってしまい、芯が無く「油」だけで燃えていることに気付いた時にはもう手遅れで燃えカスすら残らなかった。
The Big Money で描かれているところはその「油」ぶりであり、実際に伝えたいところは「火」の御し方。油を注がれた制御できない炎がどれほど危険かということと、自ら油を持ち込み焚き付ける悪循環では燃え尽きて何も残らないということがこの詩の背骨であると思います。
甘く見れば経済力の対流は財力を撹拌しますが、何らかの意図が働くと歪な連関(格差の助長や搾取の横行)を容易く生み出す脆い力であります。
あれから18年経ったと思うとびっくりです。
RUSHのメンバーは相変わらず元気な様子ですが、
自分自身の体力低下などは、やはり月日を感じずにはいられません。。。
確か、長野は女神湖畔の「相模原市たてしな自然の村」だったかなぁ・・・
懐かしいです。
(今年はスキー行けてない)
確かに腰が重くなりましたね、私も(--;)