・・・やはり隠れテーマの香りが・・・。秀逸で詩的な内容です。
歌詞全文
第1バースは人生を小説に喩えます
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私たちはお互いが謎解きの鍵
一人一人の人生は
他の誰も読んだことがない小説ようなもの
愛情の絆という共通点で束ねられてさえいるが
何ともか細い脈略で繋がっているのだ
sectrets を鍵と考えたのは、2行目で「人生は小説のよう」と喩えているからです。
誰も読んだことの無い小説における役割を綴っているように感じますので、
未読の内容を伝える存在のようなものだと・・・
secret には謎そのものとしての意味と、真意とか極意とかいう意味があります。
3行以降がトリッキーで場面展開しているようにも思いますが、ここは続けて小説の説明をしていると考えました。
各々の人生は愛情という共通テーマが流れている小説のようなものなのだが、
その小説同士を繋げる線は太くはない、と。複数作家によるオムニバス小説集みたいなイメージでしょうか・・・。
threadは「糸」という意味でもありますが、小説に即して脈略と捉えました。
第2バースは人々の関係を惑星の位置に喩えます
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私たちは互いに惑星
自らの軌道に運ばれる
短い食に向かって
互いはひどくかけ離れている
孤独で、それでもやはり一緒で
通り過ぎる二艘の船のようだ
eclipseの「食」は日食、月食の「食」で、ある天体が別の天体を遮ることです。(しかも「或る別の地点から見て」という複雑な現象であるわけですが・・・)
brief なのでちょっと部分食をするように軌道上を動いていると綴られています。
a world apart は成句で「とても離れている」という意味です。
2次元的には近接して動いているように見えるが、実際には奥行きを持った距離がそこにはあるのだ。
そして、水平線上に見える二艘の船は重なり合って行き交うように見えるがぶつかっているわけじゃないと補足されます。
・・・人間関係の比喩が描かれていて、見かけ近隣であるが、実際は孤独で、そして孤独同士が集合している関係のようであると
サビが難しく・・・jus between us 保留っぽいのですが
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Just between us,
I think it's time for us to recognize
The differences we sometimes fear to show.
Just between us,
I think it's time for us to realize
The spaces in between
Leave room for you and I to grow.
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「just between us」を除けて日本語化すると・・・
just between us,
理解する時分だと思うんだ
晒すのを時々恐れてしまう互いの相違を
just between us,
認識する時だと思うんだ
互いに成長するための間隔を
私とあなたに残された余地の間の
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という感じなのですが・・・
「just between us」とその後の固まりとつなげて、
「私たちの間の」とすると、何かクドイような気がするんです、justも訳しづらい。
(differences,spacesにかかるとすると、spacesの方は特にクドイ。)
で、ここメロディも明るいので
just 「まずは」 between us「私たちの間で」理解する・・・の方が伝わるような気がする。
続く書き出し主語が「I」による投げかけからもそんな風に思えるのですね。
まずは僕と君で善処するとこから始めよう、と。今この曲を聴いている僕と君で、ですね。
(ミックス案として「まずは私とあなたの間の」が無難かもしれません。)
3番は役者というかパフォーマーで喩えます
ここも難しく想像フル回転でいってみます。
Neil師匠は言葉選びがトリッキーで悩みます。(平易な言葉なのだけど、日本の字引では的確に当らない使い方が多い)
ちょとパッチワークになりますが・・・
全体的に役者として描いているので
strangers を未経験者、あるいは経験の浅い者と、捉えました。
続く sliding panel が難しいのですが、新米役者なので・・・
セリフ忘れ、構成忘れのための「カンペ」(紙芝居みたいなやつ)のことだろうと
(英語では実際には cue card と言います。)
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私たちは互いに役者経験の浅い者
キューカードだらけの
イリュージョンショーを演じる。
よく練習されたお決まりの演技なのか
それとも迫真の演技なのか?
それを知るのは困難だ
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という感じに描いてみました。
中途半端でぎこちなく動いている感じが伝わります。が、その真意は見え難いと・・・
4番は島です。
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私たち各々は島のようだ
荒れた海に頼みの橋を架ける
幾つかの橋は潮に焼け朽ちるか流され
幾つかの橋は渡る気になれなかった
でも私たちは常に自由なのではない
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島々が荒れる海に点在していて、各々が橋で結ばれている絵です。
人間関係が描かれています。
状況に潰されてしまったり、関係が切れたり、あるいは繋がってはいるけど頼りたくないとか・・・
そして、いつも思い通りの橋を選んで渡れるわけではない、そこしか通れないこともあると。
全体的に他人(あるいは周囲)との「間(ま)」について詠われています。
そのこと自体は普通なことなのですが、比喩にされると見方が変わるから不思議。
サビがストレートな分、回り込むような比喩が余計に浮き上がってきます。
(余談)
高校生の頃に、こういう詩をロックで歌うということに出会えたことは、とてもラッキーだな。
のフランス語が entre nous なんですよ。
で、英語で entre nous と書くと、『ここだけの(内緒)話』という慣用句になります。
つまり、英語で慣用句になったフランス語を英語にわざわざ直して表現してるんですよ。
英語圏のカナダの中でフランス語を話しているカナダのケベック州のバンドならではの使い方ではないでしょうか?