キーワードの循環・・・組曲とは言えないけれど、
コンセプトアルバム(死語?)のように互いに絡み合う、方向性がありそうな曲順。
久しぶりにじっくりとアルバムを聞いて全曲の通しての感想というか、
個別の感想を纏めた後のトータルイメージとでも言いますか・・・
このアルバムはCountdownを除き、全ての曲が繋がっているな、と感じます。
The Analog Kid,Digital Man,New World Man,Losing Itに登場する the dancer,the writer、
いずれも「人(または個人)」のことを歌っている。
同一人物の成長とまでは考えませんが、時系列的に人間のタイプとか境遇とかを描いているのだなと・・・
聴き始め当初、Subdivisionsの中に、The Analog Kid,Digital Man,New World Manという種類の人がいると
考えたのですが
今は、Subdivisionsを含めて次のように感じています。
1:Subdivsions は居場所に不安を覚えている、悩める青年たち
2:The Analog Kidはこれから世に漕ぎ出そうとする不安げな少年
3:Digital Man は一方的な合理性を押し付けられ、自らの感情も麻痺してしまった実質主義者
4:New World Man は探究心も理想も持っているが信念の成熟していない新人のビジネスマン
5:Losing IT の作家と踊り子は旬を過ぎ、老年を迎えようとする芸術家
年齢的な順番からすると1と2の配曲が逆のようですが、
2は1の「とある人(悩める青年)」の回想ではではないかと勝手に考えています。・・・完全な推測ですが。
3,4は形容詞的な呼称として使っていて、
2は実体験者の三人称的回想かなと
(故に、2だけ The が付いていると)・・・そんな風に思います。
そしてChemistryとThe Weaponはそれらの人々の関係を縫う媒体として描かれている。
Contactから始まる化学反応のような相互関係(Chemistry)と、
マイナス作用となる拘りや信念の押付け合い(宗教だとも言う人もいます)(The Weapon)で、
それらによって互いに動いたり、動かされていると・・・
ラッシュのアルバムを聴くと意図的か偶然か判りませんが、
キーワードと思える語句、あるいは好んで盛り込まれている風の単語が
曲を跨いで現れたりすることがある。
本作Sの場合、それが強烈で、各曲を関連付けている節が如実に現れています。
Digital Man には
「彼の世界はSubdivided and synthetic(細切れされた上で纏められている)」
とSubudivisionsに通じるくだりが出てきます。
Digital Manに
「よそ者達や"arrangers"にとっては」というバースが出てきて
New World Man に
「彼は"writer"であり、"arranger"である」というのが出てきて、
Losing It には"the writer"そのものが登場します。
また上に関連して、
「デジタルマンは脚色の達人、
Because for strangers and arrangers
Constant change is here to stay」
と歌われ
答えるかのように New World Man で
「ニューワールドマンは昨日には拘らない。
He knows constant change is here today だから」
と歌われています。
The Weapon には
Not the broken contacts in emotional chemistry?
とストレートにChemistryの内容に触れる個所が出てきます。
強調的に、全く〜ではないと、わざわざ反証として引っ張り出しているように思います。
New World Man では
「ニューワールドマンは
世界を勝ち取れるほど気高いけれど
But weak enough to lose it
...
世界を勝ち取れるほど賢いけれど
But fool enough to lose it」
と歌われ、
次の曲のタイトルは「Losing It」。
共通する単語として「Contact」も頻繁に出てきます。
アルバムタイトルであるsignal は2箇所出てきます。
Chemistry の冒頭と、New World Man の冒頭。
signal とは信号とか合図とか前兆とか、知らせるための「何か」のことですが
刺激を発するもの(知らせるモノ)自体を指す場合もあるので、
人そのものの個個をsignal に見立ているのかもしれません。
上手くまとまりませんが、
実はかなり凝ったアルバムで、
実は大作なのかもしれないと
ふと思いました。
余談。
最後に謎なアルバムカバーデザインですが
デヴィッド・リンチの「ブルーヴェルベット」という映画の
オープニングを思い出します。
とても鮮明なコントランストで
白い囲いの前に赤や黄色の花が咲き、囲いの向こうには青々した芝生。
とても長閑で静かで明るい。
その後の非日常的な出来事とのギャップ(対比?)として効果的に描かれています。
正にシグナルな映像です。
・・・予告してもしょうがないのですが
今は、MPとGUPを聴き込み始めています。
Sを出発点に前後に展開予定。続くか?
2004年09月22日
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